BB9200形電気機関車(べーべー9200がたでんききかんしゃ)は、フランス国鉄 (SNCF) の直流1,500V区間用電気機関車である。
概要
1957年5月24日から1964年6月1日にかけてクルゾー=ロワール (Creusot-Loire) 、ジューモン=シュネーデル (Jeumont-Schneider) 、CEM (Compagnie électromécanique) によって92両が製造された。
本形式は車軸配置「2D2」や「CC」よりも軽量かつ十分な高出力 (3,850kW) を維持した「BB」形(4駆動軸2ボギー台車)機関車を開発するというSNCFの意思の結果生み出された。BB9001-9002形やBB9003-9004形の研究成果が盛り込まれている。
本形式は特に「BBジャックマン」または「BB・MTE」という車両愛称の由来となったアンドレ・ジャックマン(André Jacquemin)の着想によるBB9004形のボギー台車を再度装備している。同じ愛称はフランス国鉄BB9300形電気機関車、BB9400形 / BB9600形、BB9700形、BB16000形 / BB16100形、BB25100形 / BB25150形 / BB25200形、BB30000形にも付与されている。
運用
本形式はまずパリ・オステルリッツ駅からトゥールーズやボルドーなど南西部方面への長距離旅客列車の牽引に充当された。その中でもパリ - トゥールーズ間の「ル・キャピトール」で1967年より始まったフランス国内の営業列車における初の最高速度200km/h運転は特筆される。
BB9200形は地中海沿岸から大西洋岸、そしてピレネー山脈の麓まで、南西部全域の電化路線に運用範囲を広げていった。そしてパリ・リヨン駅から南東部方面の路線においてもまた、数多くの列車において運用された。
その後、出力を向上したCC6500形の導入により、本形式は「ル・キャピトール」やその他長距離列車牽引機の運用から離脱したが、貨物列車や南西部・南東部の各地のローカル旅客列車において本形式は運用され続けた。
1980年代末期から1990年代初頭にかけてLGV大西洋線が開業しTGV Atlantique編成がパリから南西部方面への長距離列車に運用されるようになり、余剰となったBB7200形が転用されたことで、本形式は貨物列車とTERから次第に運用を離脱することになる。
2003年から2004年にかけての老朽化と輸送量減少による貨物列車からの運用離脱後、うち48両は2006年初めの時点で常時稼働状態にあったが、2007年にはTER(TERブルゴーニュ、TERサントル)用に配属された29両にまで減少した。そして15両のみがイル=ド=フランス地域圏とサントル地域圏との間で運行されているが、これらも2011年中には運用を離脱する予定である。
この他、パリ - ル・マン間の路線では2両が運用されている。
BB9200形キャピトール
BB rouges(赤いBB)と称された6両のBB9200形「キャピトール」 (BB 9200 Capitole) は、フランス国鉄史上初の最高速度160km/h以上での定期旅客列車を牽引した高速機関車であった。
特徴のある車両
- BB9291, 9292号機 (BB9200形「キャピトール」) - 「ル・キャピトール」牽引用の特別装備(赤塗装、予告信号、最高速度250km/h対応台車、専用のシングルアームパンタグラフ)で製造された。
- BB9278, 9281, 9282, 9288号機 - 「ル・キャピトール」牽引対応の改造車。最高速度200km/hまで対応。
- BB9280, 9281, 9282, 9288, 9291, 9292号機 - 9278号機と9280号機が入れ替わったのを除けば全て元「ル・キャピトール」仕様機であり、コライユ塗装。
- BB9231, 9288号機 - 「アルザン (Arzens) 」塗装、それぞれ緑基調と栗色基調であった。
- BB9252号機 - 1971年に非動力化されたCC20002とともにチョッパ制御の実験に使用された。
- BB9257, 9258, 9270, 9272, 9274, 9275, 9279号機 - 従来困難とされていた1,000万km以上の累積走行距離を実現した。
- BB9271, 9281, 9285, 9286号機 - 1992年にTERブルゴーニュパリ - ラロッシュ=ミジャンヌ線における2階建て客車の列車牽引(および推進)のためにプッシュプル方式での運行に対応した装備を施して、BB9700形へと改造された。これらは2007年にプッシュプル対応改造されたBB7200形によって置き換えられた。
- BB9247, 9256, 9284号機は multiservice 塗装の最後の機関車である。
運用区間
一部を掲載。
- パリ - ディジョン - リヨン - マルセイユ
- パリ - ポワティエ - アングレーム - ボルドー
- パリ - レ・ゾブレ - リモージュ - カオール - モントーバン - トゥールーズ
- パリ - ディジョン - リヨン - ヴァランス - アヴィニョン - マルセイユ
- パリ - シャルトル - ル・マン (現行)
- ボルドー - モントーバン
- ボルドー - イルン
- ボルドー - タルブ
- ナルボンヌ - セルベール
- オルレアン - シャトールー
- トゥールーズ - タルブ - アンダイエ
配置車両基地
()内は初配置年。
- アヴィニョン(1959年)
- ボルドー(1977年)
- リヨン=ムーシュ (Lyon-Mouche) (1960年)
- パリ=リヨン (Paris-Lyon) (1958年)
- パリ南西 (Paris-Sud-Ouest) (1960年)
- ポルトゥ=レ=ヴァランス(Portes-lès-Valence)(1959年)
- ヴィルヌーヴ(1963年)
- ディジョン・ペリニー (Dijon Perrigny)
- トゥール=サン=ピエール (最後の8両の配置区)
保存機
- BB9269号機 - APMFSプロジェクトで保存。
- BB9291号機 - 「ル・キャピトール」塗装に復元の上、ミュルーズのシテ・デュ・トラン(鉄道博物館)で展示。
フォトギャラリー
SNCFロゴにおける使用
1960年代末期のSNCFのロゴには、本形式(シングルアームパンタグラフの「キャピトール」仕様)が意匠として用いられている(画像)。
脚注
参考文献
- Defrance, Jacques (1978) [1969]. "Le matériel moteur de la SNCF". N.M. La Vie du Rail.
- Redoutey, Denis (2007) [1969]. "Le matériel moteur de la SNCF". La Vie du Rail. ISBN 978-2-915034-65-3。
- Vincent Cuny, « Le Capitole c'est pas Japon » dans Correspondances Ferroviaires, 34, septembre 2007, p. 50-59
- Olivier Constant, « les locomotives à courant continu 1.500 V », dans Encyclopédie du matériel moteur SNCF, numéro hors série, Le Train, 2004
関連項目
外部リンク
- http://www.bahnwahn.de/maerklinsncf9200/Ubersicht/ubersicht.html (ドイツ語)




