1962年の映画(1962ねんのえいが)では、1962年(昭和37年)の映画分野の動向についてまとめる。
1961年の映画 - 1962年の映画 - 1963年の映画
出来事
世界
- 1月23日 - フランス、フランソワ・トリュフォー監督『突然炎のごとく』公開。
- 4月11日 - フランス、アニエス・ヴァルダ監督『5時から7時までのクレオ』公開。
- 4月15日 - イタリア・ミラノ国際映画見本市(19日まで)に日本代表団団長として清水雅東宝社長、松林宗恵監督、女優・星由里子ら出席。
- 8月5日 - 米国、女優・マリリン・モンロー死去。
- 9月15日 - ペルー・東宝リマ事務所を新設。
- 9月20日 - フランス、ジャン=リュック・ゴダール監督『女と男のいる舗道』公開。
- 10月 - 東宝、タイ・バンコク、インドネシア・ジャカルタ、フィリピン・マニラ各都市に駐在員事務所開設。
- 10月5日 - 英国、007シリーズ第1作『007は殺しの番号』(原題: Dr. No、テレンス・ヤング監督)公開。
日本
- 1月
- 富士映画と大和フィルムが合併し、大蔵映画設立。
- 1月3日 - 『若き日の次郎長 東海道のつむじ風』 / 『ひばり・チエミの弥次喜多道中』公開、ヒット。
- 2月
- 日活、撮影所パーマネントオープンセット第1期工事完成、「日活銀座」の誕生。同セットを利用した最初の映画が『銀座の恋の物語』(蔵原惟繕監督)と『上を向いて歩こう』(舛田利雄監督)の2本立て。
- 2月1日 - ニュー東映の支社機構を東映に吸収・一本化。
- 2月6日 - 東映と日本ビクター、丸の内東映劇場で「カラー・アイドホール」実験公開。結局、劇場での実用化には至らなかった。
- 3月
- 3月1日 - テレビ受信契約数が1000万を突破。普及率は48.5パーセント。
- 3月8日 - 松竹労組、定年切り下げに反対し、24時間スト。
- 3月13日 - 成人映画 『肉体の市場』(2月27日封切り、大蔵映画、 ピンク映画第1号)大ヒット、 公開後に警視庁の要請で本編の一部カット。
- 3月18日 - 丸の内松竹、松竹封切に転向。松竹作品が念願の丸の内進出。21日、東京松竹セントラル(東京松竹劇場から改称)、洋画ロードショー劇場に転向。
- 4月
- 東宝、映画館の名称変更相次ぐ。1日、名古屋・名宝ニュース劇場から名宝シネマに、 大阪・南街ニュース劇場から南街名画座に改称。20日、東京・日劇ニュース劇場から日劇文化劇場に。24日、東京・スキヤバシ東宝からスキヤバシ映画劇場に改称。
- 4月1日 - 入場税、一律10パーセントに軽減。ただし、一般30円以下、教員引率50円以下は非課税(免税点)。邦画大手5社直営館、政府の要望を受け入れ、減税分だけの料金値下げを実施。
- 4月6日 - 東宝、創立30周年を記念し、6作品の公開を発表。『キングコング対ゴジラ』・『河のほとりで』・『放浪記』・『天国と地国』・『憂愁平野』・『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』。
- 4月9日 - 邦画5社長会、各社専属主演スターの他社出演を全面禁止申し合わせ。
- 4月20日 - 東京・みゆき座、洋画ロードショー劇場となり『私生活』(ルイ・マル監督)を上映。
- 4月30日 - 松竹、大谷博社長辞任、大谷竹次郎社長就任。
- 5月
- 東宝・大映労組、賃上げ要求ストライキ。
- 5月17日 - 洋画興行での東宝、松竹間の争奪戦激化、アルフレッド・ヒッチコック監督『鳥』をめぐる問題で東宝金子操取締役がコメント発表。
- 6月
- 6月6日 - 第5回東宝映画祭 (ハワイ、ロサンゼルス)に出席のため清水雅社長、女優・団令子、浜木綿子ら出発。
- 6月7日 - 日本の海外紹介に貢献した映画に対し外務大臣賞の授与を決定。11月15日、松山善三監督『名もなく貧しく美しく』、第1回外務大臣賞受賞。
- 6月30日 - 松竹セレクト国際映画改組、「松竹国際映画」と改称。
- 7月
- 衆議院大蔵委員会、輸入映画の税関審査に関して違憲合憲の公聴会を開く。
- 7月2日 - 三船プロダクション設立。
- 7月18日 - 俳優大河内伝次郎(64歳)死去。
- 7月28日 - 東宝クレージー映画シリーズ第1作『ニッポン無責任時代』公開、大ヒット。その後「日本一シリーズ」は12作続いた。
- 8月
- 日本映画製作者連盟配給部会の調査によると、1961年10月から1962年7月までの10か月間で842館の映画館が休廃館した。
- 8月9日 - 東映、光学・磁気両再生可能な8ミリ映写機「東映トーキー8M」の完成発表。
- 8月15日 - 東京映画、東京世田谷の連合映画撮影所に移転。
- 9月
- 日活、『日活50年史』発行。
- 9月1日
- 東宝、洋画興行における松竹との提携解消、再び東宝・松竹が独自に番組編成を実施。
- 松竹洋画系(S・Yチェーン)、『赤い河』、『巌窟王 (1961年の映画)』で復活。
- 松竹と東急文化会館、洋画配給で完全提携。S・Tチェーン(Shochiku・Tokyu映画興行チェーン)結成。
- 9月7日 - 作家吉川英治(70歳)死去。
- 9月12日 - 東京・日比谷スカラ座でドキュメンタリー調の映画『世界残酷物語』(グァルティエロ・ヤコペッティ監督)公開、ヒット。同劇場歴代動員新記録43万3504人(興行収入1億1769万5493円)。
- 10月
- 松竹国際映画を解消、松竹と映配が合併、松竹映配発足。
- 10月21日 - 東映フライヤーズ、プロ野球日本シリーズ優勝。
- 11月
- 11月3日 - 小津安二郎監督、映画界初の芸術院会員となる。
- 11月17日 - 『宮本武蔵 般若坂の決斗』(内田吐夢監督) / 『若ざくら喧嘩纏』公開、ヒット。
- 11月28日 - 日本初のドライブインシアターのウェスタン・ドライブ・イン・シアターが東京都砂川町に開業。
- 11月29日 - テアトル東京が帝国劇場に替わってシネラマ劇場に改装され、シネラマ劇映画第1作『西部開拓史』を公開。
- 12月
- 第2回「映画白書」発表。
周年
- 創立30周年
- 東宝 - 創立30周年を記念し、6大作品の製作を発表。『キングコング対ゴジラ』・『河のほとりで』・『放浪記』・『天国と地国』・『憂愁平野』・『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』。
日本の映画興行
- 入場料金(大人)
- 260円(東京の邦画封切館)
- 160円(統計局『小売物価統計調査(動向編) 調査結果』 銘柄符号 9341「映画観覧料」)
- 入場者数 6億6228万人 - ピーク時の11億人(1958年)から映画人口が半減。
- 興行収入 759億8300万円
- 出典: 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月、48頁。
各国ランキング
日本配給収入ランキング
- 出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、190頁。ISBN 978-4873767550。
- 出典:『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年5月、191頁。ISBN 978-4873767550。
北米興行収入ランキング
(*) リバイバル公開分も含む累計興行収入
日本公開映画
1962年の日本公開映画を参照。
受賞
- 第35回アカデミー賞
- 作品賞 - 『アラビアのロレンス』
- 監督賞 - デヴィッド・リーン(アラビアのロレンス)
- 主演男優賞 - グレゴリー・ペック(アラバマ物語)
- 主演女優賞 - アン・バンクロフト(奇跡の人)
- 第20回ゴールデングローブ賞
- 作品賞 (ドラマ部門) - 『アラビアのロレンス』
- 主演女優賞 (ドラマ部門) - ジェラルディン・ペイジ(渇いた太陽)
- 主演男優賞 (ドラマ部門) - グレゴリー・ペック(アラバマ物語)
- 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門) - 『ミンクの手ざわり』、『Music Man』
- 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - ロザリンド・ラッセル(ジプシー)
- 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) - マルチェロ・マストロヤンニ(イタリア式離婚狂想曲)
- 監督賞 - デヴィッド・リーン(アラビアのロレンス)
- 第28回ニューヨーク映画批評家協会賞 - (受賞なし)
- 第15回カンヌ国際映画祭
- パルム・ドール - 『サンタ・バルバラの誓い』(アンセルモ・デュアルテ)
- 審査員特別賞 - 『ジャンヌ・ダルク裁判』(ロベール・ブレッソン)、太陽はひとりぼっち (ミケランジェロ・アントニオーニ)
- 第23回ヴェネツィア国際映画祭
- 金獅子賞 - 『僕の村は戦場だった』 (アンドレイ・タルコフスキー)、『家族日誌』 (ヴァレリオ・ズルリーニ)
- 男優賞 - バート・ランカスター (終身犯)
- 女優賞 - エマニュエル・リヴァ ("Thérèse Desqueyroux")
- 第12回ベルリン国際映画祭
- 金熊賞 - 『或る種の愛情』 (ジョン・シュレシンジャー)
- 金熊賞(男優賞) - フランチェスコ・ロージ (シシリーの黒い霧)
- 金熊賞(男優賞) - ジェームズ・スチュワート (H氏のバケーション)
- 金熊賞(女優賞) - ヴィヴェカ・リンドフォース、リタ・ガム ("No Exit")
- 第13回ブルーリボン賞
- 作品賞 - 『キューポラのある街』
- 主演男優賞 - 仲代達矢(『切腹』)
- 主演女優賞 - 吉永小百合(『キューポラのある街』)
- 監督賞 - 市川崑(『私は二歳』『破戒』)
- 第36回キネマ旬報ベスト・テン
- 外国映画第1位 - 『野いちご』
- 日本映画第1位 - 『私は二歳』
- 第17回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞 - 『切腹』
- 第17回文部省芸術祭賞
- 映画部門(日本劇映画) - 『人間』
- 映画部門(日本記録映画) - 『特別天然記念物 尾瀬』
- 映画部門(外国映画) - 『野いちご』
誕生
- 1月15日 - 石原良純、日本の俳優・タレント・気象予報士
- 1月17日 - ジム・キャリー、カナダの俳優
- 2月25日 - 寺脇康文、日本の俳優
- 3月6日 - 柳沢慎吾、日本の俳優
- 3月18日 - 豊川悦司、日本の俳優
- 4月24日 - 山咲千里、日本の女優
- 5月6日 - 鈴井貴之、日本の構成作家・映画監督
- 5月10日 - デヴィッド・フィンチャー、アメリカの映画監督
- 5月31日 - 日髙のり子、日本の声優
- 6月6日 - 是枝裕和、日本の映画監督
- 6月11日 - 関俊彦、日本の声優
- 6月19日 - 小沢仁志、日本の俳優
- 6月24日 - 六角精児、日本の俳優
- 6月27日 - 梁朝偉、中国の俳優
- 7月3日 - トム・クルーズ、アメリカの俳優
- 7月4日 - 町山智浩、日本の映画評論家
- 8月10日 - 筧利夫、日本の俳優
- 8月15日 - 宇梶剛士、日本の俳優
- 8月19日 - 風間トオル、日本の俳優
- 10月13日 - 筒井真理子、日本の女優
- 10月27日 - 渡辺いっけい、日本の俳優
- 11月11日 - デミ・ムーア、アメリカの女優
- 11月19日 - ジョディ・フォスター、アメリカの女優
- 12月15日 - 松尾スズキ、日本の俳優
死去
脚注
注釈
出典
参考文献
- 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。
- 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。
- 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。
- 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。
- 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
- 東映『クロニクル東映-II 1947-1991』東映、1992年10月。全国書誌番号:93017746。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 日活『日活100年史 = Nikkatsu-celebrating 100 years of history』日活、2014年3月。全国書誌番号:22411179。
- 山川浩二『昭和広告60年史』講談社、1987年。ISBN 4-06-202184-6。
外部リンク
- 日本映画 - 日本大百科全書(ニッポニカ)




