数学の関数解析学の分野において、あるコンパクトハウスドルフ空間 X 上のバナッハ関数環(バナッハかんすうかん、英: Banach function algebra)とは、X を定義域とするすべての連続な複素数値関数からなる可換なC*-環の単位的部分環 A のことを言う。あるノルムが備えられることで、バナッハ環となる。

バナッハ関数環は、すべての ( f A ) {\displaystyle (f\in A)} に対して f(p) = 0 となるようなある点 p が存在するなら、その点 p において消失する(vanish)と言われる。関数環は、異なる各点のペア ( p , q X ) {\displaystyle (p,q\in X)} に対して f ( p ) f ( q ) {\displaystyle f(p)\neq f(q)} となるような関数 ( f A ) {\displaystyle (f\in A)} を含むとき、各点を分離する(separate)と言われる。

x X {\displaystyle x\in X} に対して、 ε x ( f ) = f ( x )   ( f A ) {\displaystyle \varepsilon _{x}(f)=f(x)\ (f\in A)} を定める。このとき ε x {\displaystyle \varepsilon _{x}} A {\displaystyle A} 上の非ゼロな準同型である。

定理 バナッハ関数環は半単純(すなわちそのジャコブソン根基が 0 に等しい)で、それぞれの可換な単位的半単純バナッハ環は(ゲルファンド変換を通じて)その特性空間上のあるバナッハ関数環への同型である。ここで特性空間とは、A から複素数への環準同型で相対弱*位相が与えられるものからなる空間である。

A {\displaystyle A} 上のノルムが X {\displaystyle X} 上の一様ノルム(あるいは上限ノルム)であるなら、 A {\displaystyle A} は一様環と呼ばれる。一様環はバナッハ関数環の特別な場合として重要なものである。

参考文献

  • H.G. Dales Banach algebras and automatic continuity

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