クマイチゴ(熊苺、学名: Rubus crataegifolius)はバラ科キイチゴ属に分類される半つる性の落葉低木。山地の荒れ地などに生える。別名、エゾクマイチゴ、エゾノクマイチゴ、タチイチゴ、タケシマクマイチゴ。赤色に熟した果実は食用になる。

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に、東アジアでは中国、朝鮮に分布する。

山間部の日当たりのよい林道沿いなど、森林があって、その中でやや荒れたところに生育する。丈夫な茂みを形成するので、このヤブに入り込むと痛いめに遭う。

特徴

落葉広葉樹の低木で半つる性。高さは1 - 2メートル (m) になり、キイチゴ属の中では大型なほうである。根は地下を横に這い、あちこちから地上に茎を伸ばす。茎は株立ちして直立するか傾斜し、木質化するが太くは育たない。樹皮は赤味を帯びた濃褐色で固く、毛がなくて枝には刺が多い。ふつう茎や葉には垂直に出るトゲがあるが、トゲがない太い徒長枝が立ち上がってくることがある。

葉は単葉で、長さ2 - 5センチメートル (cm) の葉柄があり鉤形の刺をもつ。葉身は長さ4 - 10 cmの広卵形あるいは卵円形で、浅くあるいは中程度でモミジ状に3 - 5つに裂け、表面には伏毛があり、裏面の葉脈には刺がある。葉縁には不揃いの鋸歯がある。

花期は初夏(5 - 7月)。冬芽から伸びた新枝の先に、直径1.5 - 2 cmほどのノイバラに似た5弁の白い花が2 - 6個集まって咲く。果実は集合果で夏(6 - 7月ごろ)に赤く熟し、食用になる。

冬芽は卵形で紅紫色で、芽鱗3 - 5枚に包まれており、横に副芽をつけることが多く、側芽は互生する。枝先の仮頂芽は側芽よりもやや小さい。葉痕は三角形で、維管束痕は3個つく。

食用

赤く熟した果実を摘み取って食用とする。生食、あるいはジャム、果実酒、ジュース、ゼリーに加工する。

脚注

参考文献

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、157頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
  • 高橋秀男 監修 田中つとむ・松原渓 著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、170頁。ISBN 4-05-401881-5。 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、210頁。ISBN 4-522-21557-6。 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53504-6。 

関連項目

  • キイチゴ属
    • モミジイチゴ
    • ニガイチゴ

外部リンク

  • クマイチゴ - ウェイバックマシン(2007年9月27日アーカイブ分)

クマイチゴの苗がたくさん生えていました 富士協生農園

草花メッセージ クマイチゴ チーフのブログ:中津川市周辺の観光・イベント・地域情報 恵那山ねっと

クマイチゴ花しらべ花図鑑

以前撮った クマイチゴ GANREF

東北森林管理局/クマイチゴ